はじめに
はじめに
前立腺とは?
前立腺は膀胱の下にあり、尿道をぐるりと取り囲むように存在する、男性だけにある臓器です。前立腺は精液の成分の一部を作っており、正常な前立腺の大きさはクルミ大ほどです。その構造はよくミカンにたとえられ、皮にあたる外腺、実にあたる内腺からなり、その中心部を尿の通り道である尿道が貫いています。
前立腺肥大症とは?
男性では50歳頃から前立腺の内腺が肥大してきます。男性ホルモンの減少が原因の一つと考えられていますが、はっきりした原因はわかっていません。程度の差はあれ、多くの高齢男性に前立腺の肥大は見られ、男性の老化現象の一種といえます。
しかしながら、肥大した前立腺が必ずしも症状を引き起こすとは限らず、内腺の中を貫く尿道を圧迫して排尿障害、頻尿などの症状が出た場合を前立腺肥大症と呼びます。また前立腺肥大症と症状が似た疾患として「前立腺がん」、「前立腺炎」などがありますのでそちらの記載もご参照ください。
前立腺肥大症の症状は?
よく見られる症状として、頻尿(尿が近くなる)があります。その他、排尿後もすっきりしない感じ、排尿に勢いがない、尿が途切れる、尿が出るまでに時間がかかる、排尿時間そのものが長くなる、おなかに力を入れなければ尿が出ない、などの様々な症状の原因となる可能性があります。症状が進行すると、排尿後も膀胱内に残った尿(残尿)が生じることもあります。
進行した前立腺肥大症の方は、お酒を飲みすぎたとき、ある種の薬(風邪薬や胃の検査薬、喘息の薬など)を飲んだとき、尿を我慢しすぎたときなどに、突然、全く尿が出せなくなる尿閉という状態になることがあります。尿閉は強い尿意や下腹部の痛みを伴います。また、腎機能低下の原因となることや尿路感染症を合併することもあります。
前立腺肥大症の症状を判断する目安として国際前立腺症状スコアというアンケート形式の問診表があります。"ひょっとして前立腺肥大症?"と思われる方はこちらで試してみてください。当てはまる症状をお持ちの方は一度泌尿器科を受診されることをお勧めします。