一般の皆さまへ あつかう主な病気

腎臓がん

はじめに

はじめに

腎臓ってどんな臓器?

腎臓は血液を濾過して尿を作る重要な臓器で、上腹部の背側左右に一つずつ存在します。
働きとしては尿を作るだけではなく血圧を調整したり、赤血球の増生を促進する物質を産生する部分でもあります。

腎臓がんの特徴

腎臓がんは10万人に10人程度の割合で発症するとされます。腎臓がんがある程度進行すると、血尿、腹部腫瘤、疼痛などを認めるとされますが、近年では無症状で発見される例が全腎臓がん患者中の70%以上で、検診や他疾患精査中の画像検査で指摘されることが多いとされます。
発生する危険因子として、肥満、高血圧、喫煙などが挙げられます。また、von Hippel-Lindau(VHL)病やBirt-Hogg-Dube(BHD)症候群など遺伝性疾患を持つ患者さん、腎不全で透析を受けている患者さんにおいては発症リスクが高いとされます。

検査と診断

検査と診断

超音波検査で腎臓がんが疑われた後、精密画像検査を行い診断します。
画像検査としてはCT、MRI、骨シンチグラフィー等を行うことが一般的ですが、状態に応じて判断します。
転移しやすい部位としては肺、骨、肝臓の順に転移しやすいとされます。
多くは画像検査で診断されますが、特に小さい腫瘍で良性腫瘍の可能性が高いもののがんを否定できない場合に、生検として組織採取を行うことがあります。

治療法

治療法

転移のない腎臓がんの治療

手術療法で摘除します。術式はがんのある側の「腎全摘除」「腎部分切除」の大きく二つに分けられます。それらを開放手術、体腔鏡手術、ロボット支援下体腔鏡手術等で行います。
京都大学では、直径4cm以下の腫瘍に対しては積極的に腎部分切除をロボット支援手術で行い、それ以上のサイズの場合は適応を適宜判断しています。
腫瘍の位置や患者さんの体の状態により、癌制御・腎機能温存・手術安全性の観点から体腔鏡手術が望ましくないと判断された場合は開放手術を行います。

転移のない腎臓がんの治療 動画

転移のある腎臓がんの治療

近年腎細胞がんの分子生物学的な特徴などが解明され、それらを標的とした「分子標的薬」が開発されています。例えばがんの増殖に重要な役割を果たしている血管内皮増殖因子をターゲットとしたチロシンキナーゼ阻害薬、がんの発生に関連する分子経路をターゲットとしたmTOR阻害薬、がん細胞の免疫をターゲットとした免疫チェックポイント阻害薬などが開発され、治療成績が著明に改善してます。とくに免疫チェックポイント阻害薬では、京都大学の本庶佑の研究チームが開発したニボルマブ(商品名:オプジーボ)が有名です。

京都大学泌尿器科では薬物療法、手術療法、放射線療法等を組み合わせて「転移のある腎臓がんでも根治を目指す」治療を積極的に行っています。

詳細は担当医にお尋ねください。