一般の皆さまへ あつかう主な病気

腎不全

はじめに

はじめに

腎臓の役割とは?

腎臓は腰上部にある左右一対の臓器で、血液を濾過して尿をつくり、余分な水分や血液中の老廃物、酸・電解質(カリウムなど)を体外に排泄する役割を果たしています。その他にも、赤血球の産生を促進するホルモン(エリスロポエチン)を作り貧血を防いだり、ビタミンDを活性化して骨密度の維持や体内のカルシウムバランスの維持を行っています。

腎不全とは?

上記のような腎臓の機能が十分に働かなくなった状態のことを腎不全といいます。腎不全になると余分な水分が体に貯まり、浮腫(むくみ)や高血圧といった症状が出ます。また、血液中の老廃物が排泄できないために、吐き気や嘔吐などの尿毒症症状も出現します。その他、貧血や骨量低下もきたします。腎不全が進行すると、肺に水が貯まり息苦しさを感じたり、不整脈が出現することがあります。

腎不全の種類

腎不全は時間経過によって2種類に大別され、急激に症状が進行する反面、治療により腎機能の回復が見込まれる「急性腎不全」と、徐々に腎機能低下が進み、腎機能の回復が見込めない「慢性腎不全」があります。
急性腎不全は、その原因によってさらに「腎前性腎不全」、「腎性腎不全」、「腎後性腎不全」の3種類に分類されます。

腎不全の種類

検査と診断

検査と診断

どんな検査が必要ですか?

急性腎不全の診断には、血液検査や尿検査、尿量測定の他、超音波検査やCT検査などの画像検査が行われることがあります。慢性腎不全の診断にも、血液検査や尿検査を行い、原疾患と尿中のタンパク質の量、腎機能(糸球体ろ過量)を組み合わせて進行の程度を評価します。また、必要に応じて腎臓に針を刺して組織を採取し、顕微鏡で詳しく腎臓の組織を確認する腎生検が行われることもあります。

治療

治療

急性腎不全の場合は、適切な治療で腎機能が回復することが期待されます。特に泌尿器科では、「腎後性腎不全」の治療を専門的に扱います。腎後性腎不全は、尿管や尿道などの尿の排出経路の閉塞により発症します。その原因は尿管結石や前立腺肥大症の他、悪性腫瘍による閉塞など、多岐に渡ります。尿管の閉塞を解除するために尿管ステントの留置や腎瘻造設といった手術治療を行います。また、尿道の閉塞に対しては尿道カテーテルの留置や膀胱瘻造設などを行い、尿の排出経路を確保します。
進行した慢性腎不全の治療法は、血液透析・腹膜透析と腎移植が挙げられます。詳しくは、「腎移植」のページをご覧下さい。

予後と療養

予後と療養

腎後性腎不全は、上で述べたような尿の排出経路を確保する治療が、発症後適切な期間内に行われた場合には多くの場合改善します。ただ、腎後性腎不全の根本的な治療には、原因となった疾患の治療が必要です。原疾患の治療が困難な場合は、尿管ステントや尿道カテーテル、腎瘻・膀胱瘻の永続的な留置と定期交換が必要になる場合があります。
慢性腎不全については、「腎移植」のページをご覧下さい。