メッセージ
京都大学病院広域連携プログラム(以下京大プログラム)平成31年度入局の五十嵐篤です。
医学部生や初期研修の先生にとって、泌尿器科や京大プログラムの魅力について、少しでも興味を持っていただくために、「先輩ドクターからのメッセージ」として、執筆を拝命致しました。少しですので、お目通しいただければ幸いです。
医学は日進月歩であり、日々新しいエビデンスが開拓されていますが、こと手術においては、まだまだ言語化しきれない感覚や技術が多く存在するジャンルといえます。漠然と、手術で病気を治したい!というモチベーションを持ち始めた学生・初期研修時代の私が、専攻する診療科を選択するにあたって、そのような空間を共有しつつレベルアップできる診療科が理想的でした。
私が学生時代には、外科診療でロボット技術に保険が適用となり、(ロボットにいち早く触ってみたいという下心もあり)最先端の機器・技術による恩恵を患者に還元できる診療科を専攻したいという気持ちもありました。これらのような動機から泌尿器科の専攻が選択肢となったわけですが、泌尿器科に興味を持ってからは更なる魅力に気づくことになりました。
泌尿器科は尿路・精巣・後腹膜などにおける専門診療科であり、その領域における内科・外科的診療を全て包括しています。該当臓器における初期の診療から終末期まで一貫して、患者の人生に寄り添った視点で診療を継続することができるため、患者との間に強い絆が生まれます。比較的独立性の強い分野であり、他診療科からコンサルトを受けることも多く、患者との間だけではなく、医療者間でも専門性を介したつながりがあり、大きなやりがいを感じます。
泌尿器科では上記領域における悪性腫瘍についても多く取り扱っていますが、その進歩はめざましいものであり、例えば内科的治療については免疫チェックポイント阻害剤はじめ多くの新規薬剤やコンビネーションが、患者にメリットをもたらす選択肢として報告され続けています。このような勢いのある診療分野において、京大プログラム内では盛んにエビデンスを共有できる勉強会が開かれており、ホットな情報がいち早く把握できる、恵まれた環境であると思います。
他に京大プログラムの特徴の一つとして、関連病院の豊富さが挙げられます。(詳細は「先輩ドクターからのメッセージ」の2つ左のリンクの「研修プログラム」内の「京都大学広域連携専門研修プログラム PDF」をご参照ください)複数の府県における、それぞれの医療の中核を担う合計21病院での研修が可能です。
医療の現場に出て気づいたことの一つですが、例えばある治療において、明確に確固たる治療方針が共有されている部分もあれば、エビデンスが確立されていない領域では、微妙に医療施設によって治療方針が異なる部分が存在することがあります。それぞれの医療施設が患者にとってベストと思う選択肢を提供している大前提を踏まえ、その違いの意味を同一プログラム内で研修しつつ実感することは、後々自分が確固たる考えを持って患者を診療していくにあたって、とても有意義な経験となると思います。
僕自身、底知れない泌尿器分野の奥深さはまだまだ十分知りえないですが、今後更にやりがいを感じる領域を発掘できると確信できる環境です。ここまで御覧頂いた皆さんにとっても、きっとそれを感じていただけると思います。
毎年、京大泌尿器医局で同門会員名簿が発刊されます。新規に10名近く名前が載ることも珍しくありません。泌尿器医局内でこれほど多くの同期と研鑽できる環境も多くはないと思います。異なる研修施設の同期と、久しぶりに会って飲んだりするのも、それぞれ違った経験をしていて楽しいです。
新たな環境へ飛び込むのは相応のエネルギーが必要ですが、その先に想像以上の魅力があることは間違いありません。ご興味を持たれた方は、是非お気軽に見学などについてご連絡ください。お待ちしております。