両側腎細胞癌における遺伝子変異の解析
情報公開文書
医学系研究について《ヒトゲノム・遺伝子解析研究への協力について》
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」は、病気に関連した遺伝子を調べたり、病気の発症や薬の効き目の違いに関係があるかもしれない遺伝子を探して、
その構造や機能を詳しく調べる研究です。これによって、病気の診断や、将来的には予防法や治療法の開発などに役立つものと考えられます。
《遺伝子とは》
「遺伝」とは、親の体質が子に伝わることをさします。体質には、顔かたちや体つきのほか、病気への罹りやすさなどが含まれます。この「遺伝」を担っている物質が「遺伝子」で、その本体はDNAです。
DNAは、アデニン、チミン、グアニン、シトシンという4種類の塩基からなり、数万種類の遺伝子を構成しています。遺伝子は、私たちヒトのからだの設計図にあたりますが、この遺伝子を総称して「ゲノム」と呼んでいます。
《遺伝子と病気》
ほとんどすべての病気は、その人の生まれながらの体質(遺伝素因)と、病原体や生活習慣などの影響(環境因子)の両者が組合わさって起こります。遺伝素因が病気の発症に強く影響しているものにはいわゆる遺伝病がありますが、
その一方、がんや動脈硬化などでは遺伝素因と環境因子の両者が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
これから説明する医学系研究は、参加される患者さんが不利益を受けないよう、倫理委員会※(医学系研究について審査する委員会)により十分検討されて承認され、研究機関の長により実施が許可されています。
本研究は総括施設として旭川医科大学泌尿器科が行い、共同研究機関として後述の9施設が存在し、 京都大学医学部附属病院もそのうちの一施設として参加しています。
※倫理委員会:
患者さんの安全を守る立場から、研究の実施や継続について、専門家や専門外の方々により科学的および倫理的観点から審議を行い、研究責任者に意見を述べる委員会です。
倫理委員会の手順書、委員名簿、委員会の議事要旨等の情報は下記のホームページに掲載されていますのでご参照ください。
・名称:旭川医科大学倫理委員会
・設置者:国立大学法人旭川医科大学長
・所在地:北海道旭川市緑が丘東2条1丁目1番1号
・ホームページアドレス:http://www.asahikawa-med.ac.jp/bureau/shomu/rinri/index.html
現在、腎細胞がんに関わらず多くのがんでは発症に遺伝子変異が関与することが知られていますが、両側腎細胞がんでは、どんな遺伝子が関わっているか、ほとんどわかっていません。これを明らかにするため計画したのが本研究です。
私たちが現在使用している治療法や薬剤は、このような研究によって開発されたり、その効果が確認されてきました。これは研究に参加していただいた患者さんのご協力のたまものであり、病気の治療方法が進歩するには不可欠のものと言えます。
今回の研究では、生検または手術で摘除したがん組織および非がん組織からDNAとRNAを抽出し解析に用います。また、末梢血由来のDNAを保存している方は、これも解析に用います。それぞれ抽出したDNAおよびRNAは次世代シークエンサーという機械で解析し、両側腎細胞がんの発症に重要な遺伝子の同定を目指します。
もし、がんの発症に関わる新たな遺伝子が見つかれば、その遺伝子の分子生物学的特徴を詳細に調べ、治療や予防、診断などに応用可能な分子を明らかにしていきます。
本研究を行うことにより、両側腎がんでより良い診断方法や治療方法の確立に役立てます。
1)研究の目的について
今回の研究の目的は、あなたの血液・がん組織・非がん組織を使用し、ゲノム・遺伝子を調べ、両側腎細胞がんの発症に対してどのように影響しているかを検討することです。
ヒトゲノム・遺伝子解析研究は、ヒトの病気における遺伝子の役割や、遺伝子が薬の有効性にどのような影響を及ぼすかを理解するために重要で効果的な方法です。
遺伝子には人によって大きな差あるいは型があります。この差が、ある人の特定の病気へのかかりやすさに影響している可能性があります。このような遺伝子の差によって、特定の薬への反応が変わる場合もあります。
そのため、この研究により、疾患の特性や転帰などの関連性を評価することができ、両側腎細胞がんの診断法や評価、病態の理解を深められる可能性があります。
また、両側腎細胞がんの患者さんは決して多くないため、研究に十分な症例を集めるため、旭川医科大学を中心とした多施設共同研究として行います。
2)研究への参加基準(候補として選ばれた理由)
研究に参加いただけるのは、以下の項目にあてはまる方です。しかし、同意いただいた後でも検査の結果によっては、参加いただけない場合もありますのでご了承ください。
以下の項目に該当する方がこの研究に参加いただけます。
(1) 両側腎細胞がんと診断され生検や手術を受けた方
(2) 腎細胞がんの組織が両側ともに入手可能である方
(3) 年齢:全年齢
(4) 性別:男女ともに対象となる
(5) 研究参加について本人から(未成年者の場合は親権者も)文書で同意が得られる方
また、以下の項目に該当する方はこの治療に参加いただけないことになっています.
(1) すでに遺伝子の変異に基づく家族性疾患の診断がついている方
(2) 家族性疾患の診断はついていないが、その存在が強く疑われ、同意が得られない方
(3) 担当医師が本研究の対象として好ましくないと判断した方
3)参加予定期間
この研究では、通常の診療として行った、生検または手術で摘除した腎臓のがん組織と非がん組織および末梢血を用いるので、研究のために特別なお時間を取ることはありません。
4)実施予定期間と参加予定者数
この研究は、2001年以降に生検や手術で両側腎細胞がんの治療を行った、合計100名の患者さんの参加を予定しています。研究実施期間は、研究機関の長の実施許可日から2030年3月31日までを予定しています。
5)研究の方法および観察・検査スケジュールなど
旭川医科大学病院および共同研究機関で治療を受けた両側腎細胞がん患者さんの生検および手術組織から採取した新鮮凍結保存試料、ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded; FFPE)ブロックからの試料を用います。
新鮮凍結保存試料とは、採取した組織を液体窒素で凍結し保管したものです。FFPEブロックとは、病理診断(組織の種類や悪性度をみる通常の診療)のための組織の保存方法で、各病院の病理部・病理診断科で常温保存されているものです。どちらも、がん組織と非がん組織を研究に用います。いずれも病理診断に使用してから残った検体のみを用いますので、研究のために新たに組織などの試料を採取することはありません。
また、末梢血白血球由来の生殖細胞系列DNAが研究用として保存されている場合は、これも研究の対象とします(他の研究検体の二次利用)。
得られた検体は、旭川医科大学および理化学研究所で解析を行います。
6)オプトアウトの対象期間
生検や手術で両側腎細胞がんの治療を2001年1月1日から2025年8月31日の間に行った患者さん。
7)研究終了後の治療
この研究のために追加の治療を行うことはありません。腎細胞がんに対するガイドラインに沿った標準的な治療を行います。
8)研究参加により予想される利益と不利益 ・負担
<予想される利益>
本遺伝子解析研究の結果が、試料を提供したひとに直接利益となるような情報をもたらす可能性はほとんどありません。まれに、偶然に重大な病気との関係が見つかることがあります。この時は、本人や家族や血縁者がその結果を知ることが有益であると判断され、倫理委員会も同様に考えた場合に限り、診療を担当する医師から本人や家族や血縁者に、その結果の説明を受けるかどうかについて問い合わせることがあります。
一方、研究の成果は、今後医学が発展することに役立ちます。その結果、同様の遺伝子構造を持つ患者さんに早期発見や予防的措置の恩恵がもたらされる可能性があります。
<不利益・負担>
あなたの病気の診断が臨床的にはっきりついている場合は、研究で遺伝子構造の違いが見つかる、見つからないということが、あなたご自身の診断や治療を左右するわけではありません。
病気を起こす遺伝子構造がみつからなかった場合には、基本的には遺伝子を調べる前と同じ状況です。
遺伝子解析の結果によっては、家族性に発生する腎細胞がんが判明する可能性があります。このような状況により、就職・結婚・保険への加入などに関して、現時点では予測できないような不利益が生じる可能性がないとはいえません。たとえ病気になる不安から解放された場合でも、そうではなかった家族との間に摩擦が生じたり、不安を感じたり、悩むことがあるかもしれません。そこで、当施設では、遺伝カウンセリング部門を整備しています。
また、血縁関係があることを前提にして遺伝子解析を行うことが多いので、その前提が崩れると(例えば養子の場合など)、正しい解析結果が得られないことがあります。思いがけず遺伝子解析により血縁関係がないと判定されることもあります。
この研究に参加されない場合でも、あなたに最もよいと考えられる方法を相談のうえ決めていきますので、特に治療法が影響を受けることはありません。
研究への参加の自由と同意撤回の自由について
1)この研究への参加はあなたの自由です。この説明文書をよく読んでいただき、ご家族と相談するなど十分に考えたうえ、この研究に参加するかどうかをあなた自身の自由な意思で決めてください。もし、ご不明な点があれば遠慮なくお尋ねください。
参加に同意していただける場合には、同意文書に記名捺印または署名をお願いします。もしお断りになっても、今後の治療を受けるうえで不利な扱いを受けることは決してありません。
2)研究の参加はいつでも取りやめることができます。この研究の参加の途中であっても、いつでも参加を取りやめることができますので、ご遠慮なく担当医師にお知らせください。
3)この研究への参加を希望しない場合や、研究の途中で参加をとり止める場合、その後の治療に対して何ら不利益を受けることはありません。その時点であなたにとって最善と思われる治療を行います。
研究はあなたの個人情報を守った上で行われます。
1)この研究で得られた検体やデータは、個人を特定できる情報を削除して研究用IDで管理します。研究の結果は、学会や医学雑誌等にて公表される予定ですが、その際もあなたのお名前や個人を特定する情報は使用いたしません。
2)この研究が適正に行われているかどうかを確認するために、研究の関係者(モニタリング担当者や監査担当者、当研究機関および他機関の倫理委員会の委員など)が、あなたの記録(カルテ、血液検査データ、尿検査データなど)を閲覧することになります。このような場合でも、これらの関係者には守秘義務が課せられていますので、あなたの名前などの個人情報にかかわる情報は守られます。
(個人情報管理の責任者:増井仁彦)
3)得られた検体・情報は「旭川医科大学人を対象とする生命科学・医学系研究における試料及び情報等の提供及び保管に関する標準業務手順書」に従って、研究の発表(または、研究終了を報告した日)から10年間厳重に保管の上、適正に廃棄いたします。
4)提供された血液・がん組織・非がん組織は、個人を特定できる情報を削除したまま共同研究機関である理化学研究所へ送られ、DNAおよびRNAを抽出し次世代シークエンサーという機械で解析されます。もし、研究への参加を撤回された場合、得られた遺伝情報は直ちに削除します。
使用する研究費は文部科学省の科学研究費です。特定の会社や団体からの資金は用いません。
本研究は、研究責任者のグループにより公正に行われます。本研究の利害関係については、現在のところありません。今後生じた場合には、旭川医科大学利益相反審査委員会の承認を得たうえで研究を継続し、本研究の利害関係についての公正性を保ちます。
この研究の結果により特許権等が生じた場合は、その帰属先は旭川医科大学になります。あなたには帰属しません。
京都大学所属の研究者の利益相反については、京都大学利益相反ポリシー、京都大学利益相反マネジメント規程に従い、京都大学臨床研究利益相反審査委員会において適切に審査しています。
今回の研究対象となる遺伝子情報は病気や健康状態等を評価する上でのものであり、精度や確実性が十分ではありません。ゆえに結果はお知らせしません。 その一方で、研究の過程において当初は想定していなかった提供者及び血縁者の生命に重大な影響を与える偶発的所見が発見された場合においては、個人情報の保護に関する法律及びその他の法令ならびに「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づいて対応します。
この研究により健康被害が発生した場合の対応について1)健康被害(副作用)が発生した場合
この研究により健康被害が生じることはありませんので、金銭保証などもありません。
研究中であっても、以下の場合には研究を中止させていただきます。
1)あなたがこの研究への参加を取りやめたいと申し出たとき
2)担当医師が研究をやめたほうがよいと判断したとき
なお、この研究に関連してそれまでに集められたあなたの診療の記録や検査結果は使用させていただきます。もし、その使用について取りやめたい場合はお知らせください。
あなたから提供された検体・検査データ等は、将来、他の研究に二次利用する可能性があります。利用する場合は、その研究計画が倫理委員会で承認された上で利用いたします。 本研究の概要や資料情報の二次利用についてホームページ上で公開することによって拒否する機会を講じます。
旭川医科大学泌尿器科
研究責任者:沼倉一幸(泌尿器科、教授)
担当者:菊地大樹(泌尿器科、助教)
【連絡先】
旭川医科大学病院泌尿器科
〒078-8510 北海道旭川市緑が丘東2条1丁目1番1号
平日 0166-68-2533、夜間・休日 0166-65-2111(代表)
この研究は、通常の診療の範囲内で行われますので、ご参加いただくにあたって、あなたの費用負担が通常の診療より増えることはありません。遺伝子の解析は研究費によって行われますので、検査にかかる費用をあなたが払う必要はありません。
両側腎細胞がんに対して検査や治療が必要なときには、一般診療と同様の個人負担となります。
なお、血液などの試料提供に対して、あなたに謝礼をお支払いすることは致しませんのでご了解ください。
病気のことや遺伝子解析に関して、不安に思ったり相談したいことがある場合は、担当者へ何なりとご相談ください。
研究についてより詳しい説明を行うと共に、ご希望に応じて遺伝カウンセリングが受けられるよう、本院では遺伝子診療カウンセリング室を設けています。なお、費用は実費となります。
(遺伝カウンセリングの相談窓口)
京都大学医学部附属病院 遺伝子診療部 予約電話番号 075-751-4360
腎細胞がんへの治療は通常通り行われますので、特別なお願いはありません。
研究に関する情報公開および資料閲覧方法この研究の方法等を記載した資料をご覧になりたい場合は、他の試料提供者の個人情報に関わる部分や研究の独創性確保に支障のない範囲でお見せいたします。
ただし遺伝子解析結果に関しては原則開示しません。この研究で行われる遺伝情報の全部または一部を開示しないことについて同意した場合には、開示が行われない可能性があります。
この病気に対する治療は最善を尽くして行いますので、ご安心ください。その他、研究についてわからないこと、心配なことがありましたら、相談窓口にお問い合わせください。
(現時点で特定されない研究については実施が未定のため、他の方の個人情報については個人情報保護のため、知的財産については知的財産保護のため、お答えできないことをご了承ください。)
研究責任者:小林 恭(泌尿器科、教授)
担当者:増井仁彦(泌尿器科、講師)
【連絡先】
研究内容に関する問い合わせ先:
京都大学医学部附属病院 泌尿器科
京都市左京区聖護院川原町 54
電話:075-751-3111(病院代表)
京都大学医学部附属病院の相談窓口:
京都大学医学部附属病院 臨床研究相談窓口
電話:075-751-4748
E-mail: ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp
総括施設:旭川医科大学泌尿器科
研究代表者:沼倉一幸(泌尿器科、教授)
共同研究機関:
・理化学研究所 基盤技術開発研究チーム 責任者 桃沢幸秀
・理化学研究所 がんゲノム研究チーム 責任者 中川英刀
・弘前大学 泌尿器科学講座 責任者 畠山真吾
・秋田大学 腎泌尿器科学講座 責任者 関根悠哉
・岩手医科大学 泌尿器科学教室 責任者 小原 航
・東北大学 泌尿器科学講座 責任者 伊藤明宏
・山形大学 泌尿器外科学講座 責任者 土谷順彦
・京都大学 泌尿器科学教室 責任者 小林 恭
・Asan Medical Center 責任者 Cheryn Song