専門医制度が変わる時には

新専門医制度が揺れている.数年かけて作り上げてきた制度設計が,地方医療の崩壊につながる可能性があるということで立ち往生している.基本診療科の間で幾度となくすりあわせを行い,様々な意見の違いを乗り越えて作られた制度である.残念でならない.

初期臨床研修制度が始まった13年前,大学の泌尿器科には 2 年もの間,新人が来なかった.しかし,スタッフがが雑用をこなし,大学は何とかやりくりをしながら頑張った(医師の引き上げという問題もおきましたが…).研修医の大学離れもおこった.しかし,この研修制度を非難する声は今はもう無い.確かにこの専門医制度には問題点が少なからずある.しかし,最初から完全な制度など期待できないし,良質な専門医の育成という目的であるなら,まず第一歩を踏み出すべきではないかと思う.新制度によって良い専門医が育つまでの 4 年間は皆で歯を食いしばって頑張るしかない.後は自然と良い方向に向くのではないかと思うのは楽観に過ぎるのだろうか.

( 小川 修 )