ついにiPS細胞の山中教授にノーベル賞が授与されることが決定した.
昨年の受賞を期待していたが,1年遅れの受賞となった.
それでも2006年のiPS細胞作成の成功から6年という迅速受賞であり,それはこれからの生命科学や医療分野での大きな発展が期待できるという証拠でもある.
将来の発展が期待されるiPS細胞研究でさえ,これまで政府の仕分けにあってきたという.
この分野においても研究費は欧米に比べて圧倒的に少ない.
実際,iPS細胞研究所のホームページには「iPS細胞研究基金」による寄付金の受付広告が掲載されており,山中教授自身も寄付依頼のためのマラソンに参加されていると聞いている.
今年の受賞がなかったら,さらに研究が遅れていたことは間違いない.
その山中教授が真っ先に政府に要望したことは,研究費の使い方を含めた研究環境の改善である.才能ある研究者やそれをサポートする人材が研究に専念できる環境の整備である.
研究の裾野が広くなければ,ノーベル賞に値するような突出した研究成果など期待できるわけも無い.国立大学の現役教授がノーベル賞を受賞するのは初めてだと思う.現役の教授,研究者だからこそ,研究現場のニーズに応じた要望や提言ができる.
日本の医療を良い方向に導くためには,実際の臨床業務にたずさわっている良識ある医学研究者にノーベル賞をとってもらうしかない.